天雲の桜に水を捧げ、次の旅に出る。地雲の桜にたどり着き、酒を捧げる。
旅路にある者が樹下に宿を乞い、樹の求めるままに物語をし、更に旅を続ける、という即興朗読パフォーマンス。平忠度の歌「ゆきくれて 木のしたかげを 宿とせば 花やこよひの あるじ ならまし」を下敷きにした。
植物の声を聞き植物と同化するのは、水、土、大気と交霊する事でもある。木々のさやぐ眼差しは、なまめかしく、またうるわしく、慕わしい。
天雲の桜、地雲の桜、目覚めつつ見る緑葉の夢 ―異形の旅―
記述とは交霊術である 私はつねに異郷さまよう異教徒である 異教徒は天霊地霊と交わる 砂の海に埋もれたうたを探す 猛霊の国境を越境してゆく 心優しいものがいて私を誘う ただよう五月に枝を差し出す桜木のゆめ 見知らぬ桜を天雲、地雲と呼び酒を捧げ水を捧げ 呟く伝承を捧げ 音と声を少し捧げて旅を続け 少し眠る 記述する 眠る 目覚める 旅を続ける 異教徒は消えゆく文字と密約を結ぶ 未生の文字と密約結ぶ 密約草紙を記述する 交霊する 巡礼する.........
警告― 幾千の物語生まれる混沌領土に乱雲の気配あり 天人よ 人界の狭さを嘆く事なかれ 悪い夢ほど心やさしいもの だ から
1999年5月1日 13時30分より
leea nishino 拝
(c) 1999 Leea Nishino