妖霊の時間がなつかしげに あなたの 窓辺を 濡らす とき 朝焼けと夕焼けの匂い立つ うるわしい凶夢の 柔らかい腕が あなたを 抱きしめる ― 凶夢髪なびく 彗星の七彩、五月 ― 果て無しの大海は この世界球をのみ込んで 不可視の 水域に なだれてゆくから いまは 燃え続ける悩乱の 物語を書きとめて、さあ、 弧を描く指で ― 凶夢髪なびく 安息の七彩、外海 ― いとおしい 妖霊たちの 濡れたまなざしが 無数の吐息捲いて 見知らぬ 明け方の 岸辺に 貝殻を拾う夢を 待つ。 |
←BACK | HOME | NEXT→ |