紫にけぶる至上門は 呻きを上げて開かれる 地を這う夕霧は渦巻いて散り 私はめまいの都に入城する 引き連れた黄金獣 翡翠竜馬のその前を 形無き あるいは形持つ霊獣ら 異名持つ 眠りの底の生き物ら 私の長旅 茫漠の地の長征に従った 明晰の獣たちである 虚ろで疲れたまなざしの 着飾った侍女ら 侍従ら 金糸の縫い取りは塵にまみれ 岩に擦り切れて 誇り高くはあるものの みな美しくはあるものの この黄昏の中 葡萄の瞳は虚ろに見える 私の武勲に引き換えても 間に合いはしない あの人の皓く美しい体が あまたの宝飾に飾られて 深い墓穴に降ろされるのを それすら 見る事もできずに 私は髪振り乱し 黄金の飾りをかなぐり捨てて モーヴのヴェール引き裂き 地に崩れて 深く慟哭するのだろう 追って行くべき 天も地も ああ 無しとするゆえに |
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